「『幽霊はここにいる』は、安部公房の戯曲。3幕18場から成る。安部の前期演劇の頂点をなす作品である。戦友の幽霊が見えるという不思議な男と出会った中年男が、「死人の写真 高価買います」というビラを町中に貼って始めた珍商売の喜劇的物語。ユニークな状況設定と通行人をミュージカル風コーラスに使うなど、シュールな手法を駆使した諷刺と幻想のドラマ構成で、幽霊商売が巻き起こす町の混乱がリズミカルに描かれている。\r\r1958年(昭和33年)、白水社雑誌『新劇』8月号に掲載された。同年6月23日に田中邦衛主演により俳優座劇場で初演され、第5回(1958年度)岸田演劇賞受賞。単行本は翌年1959年(昭和34年)6月15日に新潮社より刊行された。翻訳版もドナルド・キーン訳(英題:The Ghost is Here)をはじめ各国で行われ、東ドイツ、ルーマニア、モスクワなど海外各国でも上演されている。\r\r\r新潮社・昭和34年6月初版発行の安部公房「幽霊はここにいる」函付きです。四六判、挿画は安部真知、装幀は芳だ正次です。函に経年のヤケと小スレが少しありますが、本体にはシミや書き込み、蔵書印などはありません。本作品は昭和46年に新装版がでています。\r65年前の古書であることをご理解の上、購入の検討をお願いいたします。